革靴は水洗いできないというのが、これまでの常識でした。水を吸い込むことで革が変質してしまうからです。私どもの工場では、革に栄養を与える特殊な洗浄液を利用することにより、靴の水洗いを実現しています。
人間の足は、一日で約コップ一杯の汗をかくと言います。一日履いた靴はこの汗を大量に吸い込んでいるわけですから、放っておくと雑菌が繁殖し、臭いやカビなどの原因になります。その結果、革が硬くなったり表面がひび割れたりしたら、せっかくの靴が台無しです。そうなる前にドレスファイルに預けていただければ、この私が責任を持って丸洗いいたします。本当に見違えるほどキレイになりますよ。定期的に水洗いすると本当に
長もちしますから、大切な靴にぜひご利用いただきたいと思います。
こういうことはあまり言いたくないのですが、中にはどうしても水洗いできない靴もあるんです。アニリン染めという染め方の靴があるんですが、これを水に浸けるとどうしてもシミが残ってしまいます。それから、ワニ革やヘビ革の靴はどうにもなりません。こういった靴の場合は、専用のクリームを使って丁寧に拭き取ってきれいにします。もちろん水洗洗いにはかないませんが、それでも多くのお客様にご満足いただいています。
実は、約30年間オーダースーツの職人をしていました。お客様の要望を一つ一つ汲み取りながら、ぴったりのスーツを作り上げていく仕事です。この洋服づくりと靴のクリーニングには、通ずるものがあるんです。日々靴と対話しながら、最高の結果を出せるように努めています。以前、1足の靴だけで3日もかけてしまい、社長に怒られたこともありました。その間ほかの仕事がいっさい進まなかったのですから、当然と言えば当然ですよね。職人としてのこだわりと採算性の間で、葛藤する毎日です。
ところで、当工場では靴のリペアも行っています。かかとや靴底の張り替えはもちろん、サイズの微調整なども可能です。お客様に満足いただけるよう最善を尽くすことをお約束します。こうして毎日靴をクリーニングしていると、いつか自分で靴を作ってみたいと思います。その靴を買ってくれた人が大事に履いてくれて、また私のところにクリーニングに出してくれたら、それ以上嬉しいことはないでしょうね。























