学校を出てから約20年、クリーニング業界一筋でここまで来ました。もちろん長くやっていれば良いというわけではありませんが、実際のところ、クリーニングは経験と勘がものを言う世界です。
安いクリーニング店の場合、機械で仕上げることで人件費をカットしている場合がほとんどです。それで十分なことも多いですし、当工場にもそういうラインがあります。しかし、デリケートな素材を使ったものや、デザインに凝った服の場合、その個体に合った仕上げが必須です。ドレスファイルに届く洋服は、正直「良い品物」が多いので、細心の注意を払って作業しています。
よく言われることですが、クリーニングの品質を決めるのは最後の仕上げです。もちろん洗いの工程にもレベルがあって、使う溶剤ひとつで汚れ落ちや風合いに差が出ます。しかし、それを生かすも殺すも、結局は仕上げで決まるんです。ドレスファイルの預かり品については、当工場でも特に優秀な職人が、一点一点その特徴と個性を見極めて作業を行っています。その仕上がり具合は、作業に当たる職人自身の経験とノウハウによるところが大きいですね。
それからもうひとつ、意外に重要なポイントと言えるのが、洗う前の検品作業です。洗いの工程は、大きく分けてドライクリーニングと水洗いがあります。それぞれの特徴をひとことで言うと、油汚れに強いが汗汚れに弱いドライクリーニング、汗汚れに強いが生地が縮みやすい水洗い、といったところです。このどちらを選択するかは、洋服の裏側に付いている「洗濯表示タグ」で判断するのが基本なのですが、実はここに落とし穴があります。この表示が、結構あてにならないのです。
たとえば最近人気のダウンジャケット。洗濯表示を見ると、ブランドものに限ってドライクリーニングが指定されています。しかし実際にドライクリーニングすると、羽毛の油分が洗い流されて、パサパサになってしまいます。おそらく表の生地の縮みを心配しての表示だと思いますが、ダウンがペシャンコになっては本末転倒です。ですから私どもは洗濯表示にかかわらず、ダウンジャケットは水洗いしています。
このような微妙な判断は、何もダウンジャケットに限ったことではありません。残念なことに、表示が間違っている服は決して少なくないのです。しかしここで判断を誤ると、その後の工程では取り返しがつきません。結局ものを言うのは、長年積み重ねてきた経験です。この検品とシミ抜きだけは、今でも私自身が担当しています。
保管サービスがメインのドレスファイルですが、実はクリーニングだけで利用される方も結構いらっしゃいます。それだけ、私どものクリーニング品質を評価いただけているものと自負しています。個別のご要望にも可能な限りお応えしますので、大切なお洋服のクリーニングは、ぜひ私どもにお任せください。














